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文献:Jpn J Rehabil Med Vol.57.530

著者:豊倉穣 東海大学大磯病院リハビリテーション科

 

 この論文は汎性注意障害に関して、第3回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会での教育講演(2019年11月16日,静岡)の内容からいくつかテーマを選んで概説したものとのことである。脳血管リハビリの臨床では運動機能だけでは説明できない現象を目の当たりにすることはよくあり、注意が要因と考えられることは多くある。この論文により汎性注意について整理できたので紹介したい。

 

汎性(全般性)注意障害とは、半側空間無視といった方向性注意障害と分けられており、刺激の中から必要な一部分のみを選択したり,他の刺激から干渉を受けずに行動を持続したりするための機能と考えられている。この論文でははじめに総論として1.注意のコンポーネント2.情報処理速度の低下3.Dual-taskingとtask-switchingについて述べられており、そのうえで評価・診断や対応といった流れがある。以下は自分が論文より印象に残った部分と考えたことについて記載する。

情報処理速度の低下についてピックアップする。情報処理速度の指標として反応時間が用いられることが多いが、反応時間は単純反応時間と選択反応時間に分けられ、脳外傷者では両者とも時間の延長することが知られているが、後者のほうが障害されやすく、回復に要する時間も長いとある。私自身は脳血管障害者との関わりの中、単発刺激に有無の気づきは良くても、どこの部位がどのように動いたか、どこにどのような感触があったかなど知覚を詳細にしていこうとすると患者は困惑する場面に遭遇することが多い。このことから注意は脳機能低下の影響を受けやすいことから、セラピストは訓練においてその人のもつ注意の特徴を理解する必要があると考えた。

対応では認知リハビリテーションの概要があり、注意に対する直接的注意訓練の他に、メタ認知訓練や二重課題訓練が紹介されている。その中のメタ認知訓練についてピックアップする。メタ認知訓練での実験では、課題実行前に自身でゴールや具体的作業の困難、エラーの予測をさせ、その対策や援助の必要性や量を決定する群は、実生活に関する自己制御や自己制御の確立が実生活での実行能力を向上させたとある。これは認知課題の中でも共感できる部分ではないかと思う。その課題が何を目的としていて、どのように動作や生活と繋がるのか認識ができる方はパフォーマンスが向上しやすいと自覚する。しかしながらこれについては自分にとっては印象にすぎないため、今後の自身の課題として注意・メタ認知・パフォーマンスの向上の関連を調べていきたいと思う。

(文責:赤岩病院 OT 進藤隆治)

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