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パーキンソン病患者の知覚のリハビリテーションと体幹姿勢のアライメント:無作為化比較試験(単盲法)

著者:Morrone MMiccinilli SBravi MPaolucci TMelgari JMSalomone GPicelli ASpadini ERanavolo ASaraceni VDI Lazzaro VSterzi S.
雑誌:Eur J Phys Rehabil Med. 2016 May 12.

背景: 最近の研究は、姿勢バランスと痛み症状に関する予備調査を報告し、パーキンソン病の知覚のリハビリテーションの潜在的影響を評価することを目的としている。現在までパーキンソン病患者を対象に、知覚のリハビリテーションと従来の治療の効果を比較した無作為化比較試験は行われていない。

目的: 知覚のリハビリテーションがパーキンソン病患者の姿勢制御と歩行パターンに、従来の理学療法よりも効果的であるのか調査することである。

デザイン:単盲法、無作為化比較試験。

セッティング:大学病院医学部リハビリテーション分野

対象:特発性パーキンソン病によって影響を受けるHoehnと Yahr分類のステージ3以下の20人の外来患者とした。

方法: 対象患者を2群に分けた:第1群は表面素材を用いた知覚のリハビリテーションを個別に行った(堅い木の表面は、変形可能な円錐のラテックスの様々な面を持つ)。そして、第2群は従来の理学療法を行った。各々の患者は、10個の訓練プログラムから成るメニューを、週3日45分のセッションを4週間連続で行った。各々の対象者に、光電子ステレオ写真測量システムによる歩行と姿勢分析、そして、コンピュータ化されたプラットホームによる重心動揺検査を、治療の前と治療の直後と1ヵ月のフォローアップに評価した。

結果:脊柱後弯の角度は知覚のリハビリテーションの10回のセッションの後に減少し、対照群に関しては明確な違いを示した。歩行パラメーター(ケイデンス、歩行スピード、重複歩距離)は群間に有意差はなかった。重心動揺計の静的評価と動的評価のパラメータは、郡内・群間の両方とも、統計学的な違いを示さなかった。知覚のトレーニングは、パーキンソン病患者の正しい中央線の認識を取り戻し、姿勢の改善することに役に立つ可能性がある。

臨床的意義: 知覚の表面が、パーキンソン病の姿勢障害への従来のリハビリテーションに代わるものとなることを意味する。更なる研究は、知覚訓練と活動的な運動訓練の関連が、歩行の器用さの向上に役立つかどうか確定するために必要である。

URL: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27171537

コメント

知覚のリハビリテーションが有効であったという報告は認知神経リハビリテーションの根拠となる研究になると思います。知覚のリハビリテーションがどのように実施されたのか詳細に知ることで、臨床のヒントとなりそうです。


(文責 若月勇輝 川島病院)
 

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