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物体の高さ及び運動時間に関する高齢者の認識能力について

文献:理学療法科学 22(2):287‐292,2007

著者:常 冬梅, 霍 明, 丸山仁司

 

要旨;若年者44名と地域在住の高齢者64名を対象にし,物体の高さ及び時間に関する高齢者の認識能力と転倒の関連性について検討した。大きさ20㎝の立方体の距離とTime Up and Go test(TUG)の時間の認識誤差(予測値と実測値の差)を測定した。 結果として高齢者群特に高齢転倒群において,若年群との間に有意差が認められた。「過去1年間での転倒の有無」を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った結果,TUGの実測値,TUG認識誤差を抽出し,転倒予測スケールを作成した。ROC曲線の評価から曲線下面積が0.801,cut off値2点と判断したところ,転倒に対する感度と特異度はそれぞれ75%であった。認識誤差を用いて転倒を評価する方法の有効性が示唆された。

 

 

コメント

認知神経リハビリテーションにおいて空間課題を実施する際に対象者に身体の動く方向や距離を予測させ実際の運動が合っているか問うことがある。転倒は様々な要因で引き起こされるが予測値と実測値の誤差が大きければ転倒リスクが高まるということが論文内で言われており,プロフィールを作成する際に転倒リスクを予測する手掛かりになる可能性があると思われた。

 

(文責:岡崎共立病院 永原巧)

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