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運動学習理論に基づくリハビリテーション

著者:長谷公隆(関西医科大学付属枚方病院 リハビリテーション科)
雑誌:四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要第9号2013

 

リハビリテーションセミナー

先月、認知神経リハビリテーション東海三県合同勉強会が行われ、その際に「臨床で役立つ運動学習」の講演がありました。認知理論は「運動機能回復を病的状態からの学習過程とみなす」ものであり、勉強会での講演は基礎となる運動学習の知識について詳細な話しがありました。この論文は、運動学習を復習する際に読んだものであり、大変わかりやすくあったので紹介させていただきます。

この論文は、1.運動学習理論と脳機能、2.フィードバック、3.運動学習の段階と学習方法に分けられ説明が書いてあります。特に私が気になったのは運動学習の段階のところです。講演でもありましたが、運動学習の段階では認知段階・連合段階・自動化段階に分けられます。普段、訓練で患者さんに声かけや指示して運動をする訓練では認知段階や連合段階では適応できそうですが、自動化といった最終段階に行くためには大きな壁があることを臨床で痛感しています。長谷は「日常生活に必要な運動スキルの自動化とは、標的動作を何も考えずに行うことができるような安定性が得られてはじめて完結する。」と述べています。私は認知課題を患者に提示することにおいて、身体の細分化を求め過ぎていた面があると思いました。はじめは患者が課題に注意を集中し差異に気づくことを主体とします。その差異に気づきがでてきたら、今度はさらに詳細な差異に注意を集中し、細分化を促す課題を提供する傾向がありました。しかしながら、自動化という面が最終にあるとするならば、この過程は意識を集中させることばかり求めており、自動化とは逆の過程となっているのではないかと考えます。生活場面において動作の自動化を促していくには、どういった運動や環境に注意をどのように活用していくかをもっと検討していく必要があると思いました。

 最後に論文の内容に戻りますが、詳細として「小脳の誤差学習」「大脳基底核の強化学習」「内在的フィードバック」「外在的フィードバック」などの学習に必要な要素がわかりやすく説明されています。運動学習に興味がある方、これから勉強をはじめる方にはお薦めの論文です。
(文責:赤岩病院 作業療法士 進藤隆治)

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