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感覚・運動情報の予測学習と認知発達 感覚・運動情報の予測学習に基づく計算論的モデル

滋賀のOT学会にて本田先生が、予測と結果の比較照合モデルであるコンパレータモデルの説明の際に用いた文献を紐解いてみた。この文献では、前半で予測学習とコンパレータモデルについて述べられており、後半では

感覚・運動情報の予測学習という共通のメカニズムを基に、ロボットが自他認知や物体操作、利他的行動などの認知機能をいかにして獲得するかを実験により示している面白い文献である。

「人間が目標指向の運動を生成したり、環境に応じて適切な行動を決定することができるのは、予測学習のおかげであると考えられている。」という事がこの文献では示されており、予測学習の概念的モデルは、以下の引用の様に大きく分けて2つのモジュールからできていると言われている。

 

引用

一つは感覚・ 運動器で、現在の感覚信号と脳で 生成された運動指令をもとに実際に身体を動かし、 環境との相互作用の結果として得られる感覚信号を脳にフィードバックする役割をもつ。もう一つは 予測器で、運動指令の遠心性コピーと現 在の感覚信号から、次時刻の感覚信号と運動指令を予測する役割をになう。そして、これら二つのモジュールから出力された実際の感覚信号と予測した感覚信号の差として予測誤差を計算し、人間はこれを最小化するように自己の内部モデルを学習する。(2016 長井)

https://developmental-robotics.jp/wp-content/uploads/publications/Nagai_JSBS16_Journal.pdf

 

臨床では、環境に応じて適切な行動を決定することができない人が多くいる。どのような情報が得られていないために行為ができていないのか?今回のモデルに立ち返り、感覚・運動器の現在の信号と脳で生成された運動指令の比較をもとに、障害を「環境とどの様な相互作用ができていないか」と、とらえて考えるヒントになりそうである。

(文責:みず里 岩谷竜樹)

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