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しびれ感の意味と意義

タイトル:「しびれ感」の多彩な原因とその対応

著者:福武敏夫

雑誌:Clinical Neuroscience Vol.36 (18年) 04月号

【内容】

 「しびれ/しびれ感」の言葉としての意味について概説されている.「しびれ」は日本語・一般語であり,したがって多義語である.

精選版日本国語辞典 第二巻,2006,小学館では「感覚異常の一つ.神経系あるいは循環系の障害により,運動神経,または知覚神経が侵された状態となり,運動麻痺,知覚麻痺を起こす」と医学的な説明がされている.さらに「しびれが切れる」,「しびれを切らす」説明に「①長くすわっていたりしたりしたために,血液の循環が悪くなって足の感覚がなくなる」に加え「➁待ち遠しくて,我慢できなくなる」と述べられている.

 漢和辞典(大漢語林,1992,大修館書店)では「①血液循環が不調で肢体の感覚がなくなること.表面的で痛いのを痹といい,内部的で痛くないのを痿という.②なえる,力がなくなり,ぐにゃぐにゃになる,しびれて役に立たなくなる.

 医学事典(南山堂医学大辞典 第20版,2016,南山堂)には「しびれ感」の項目があり「[英dysesthesia,paresthesia,numbness]感覚過敏hyperesthesiaや異常感覚,感覚鈍麻hypesthesia,ときに運動障害(力が入らない状態)を意味する日本語で,本来の医学用語ではないが,感覚過敏や異常感覚の場合に用いられることが多い.感覚過敏は通常の感覚刺激に対し正常以上に強く感じること,異常感覚には外的刺激が加えられた際に質的に異なった感覚を自覚するparesthesiaの場合と,外的刺激がないにもかかわらずビリビリ,ジンジン,などと表わされる感覚を自覚するdysesthesiaとの場合がある」と解説されている.

 「しびれ/しびれ感」を考える上では,その他の医学用語として,感覚過敏(hyperesthesia:与えられた刺激を強く感じる),異痛症(allodynia:痛みを起こさないような軽微な刺激を強い刺激として感じる),さらに感覚鈍麻[hypesthesia:与えられた刺激を鈍く感じる]~感覚消失(anesthesia)がある.南山堂医学大辞典では「しびれ感」= numbnessのように対応づけがなされているが,numbnessは本来的には感覚鈍麻~消失のことであり,「麻酔をかけられたようなしびれ」という訴えによく対応する.針刺激を感じることはないが,決して無自覚的ではなく,腫れたような感じを伴うことが多く,pins-and-needles-feeling(チクチク,針で刺されたよう)とかburning(焼け付く),tingling(ヒリヒリ)と表現されるような異常感覚を伴うこともある.

 

コメント

 患者さんや利用者さんからジンジン,ピリピリ,ビリビリ,チクチクなどオノマトペを用いた表現や電気が走る,薄皮がはさまった感じなどとしびれを表現されることがある.その為,しびれという用語は多義語であり人によっても表現が異なることから捉えにくい.今回はしびれの意味について調べ,用語を理解しようと努めた.私は認知神経リハビリテーションにおいても用語の意味を簡単に使ってしまっていることもあり,今後も用語を整理して正しく使用できるようにしていきたい.

(文責:岡崎共立病院 永原巧)

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