Esercizio Terapeutico Conoscitivo Aichi
骨盤傾斜が座位における体幹前傾運動時の脊柱起立筋および腹直筋活動に及ぼす影響
川崎医療福祉学会誌 Vol.15 No.2 2006 463-469
著者:丸田和夫等
要約
本研究の目的は、座位での体幹前傾動作によって生ずる脊柱起立筋および腹直筋活動に及ぼす影響を明らかにすることである。対象は、20~21歳(平均年齢20.5±0.5歳)の健康若年男性11名であった。骨盤傾斜位は、前傾位、中間位、および後傾位の三種類とした。各被験者には、体幹首位直位から床に手を付けるまでの最大体幹前傾位をとらせた後、また体幹垂直位に戻るまでの動作を行わせた。体幹前傾動作の比較は、三種類の骨盤傾斜位をとらせたまま行った。体幹前傾角度、骨盤傾斜角度および脊柱起立筋、腹直筋の筋活動は、筋電図-動画像軌跡座標の動機処理計測システムを用いて連続的に測定した。筋電図の生データは全波整流して積分した後、最大随意収縮(MVC;Maximal Voluntary Contraction)を基準に積分値を正規化(%MVC)した。文責には最大体幹前傾時のデータを用いた。その結果、骨盤傾斜角度は骨盤傾斜位が前傾位、中間位、後傾位の順に有意に大きい値を示した。脊柱起立筋の筋活動は、骨盤傾斜位が前傾位、中間位、後傾位の順に有意に小さい値を示した。腹直筋の筋活動は、骨盤傾斜位による有意差はみられなかった。以上の結果から、FRP(Flexion Relaxation Phenomenon)の影響によってもたらされたものと考えられることから、腰椎位の骨・関節系への負担を軽減するためには、ADL(Activities of Daily Living)上で骨盤傾斜位を中間位に保持して腰椎を平均化させることが重要になると思われる。
コメント
動作が行い易くなる姿勢が再度確認できているように思う。またその時の筋活動においてもどこに注意を向けることが必要かにつながってくるように思う。また、骨盤の位置における動作の行い易さを考えて動作を指導することにもつながってくるように思う。
(文責 岡崎南病院 西村 郁江)