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面白くて眠れなくなる人体

著者:坂井 建雄
発行所:株式会社PHPエディターズ・グループ
第1版発行:2012年11月6日

目次
PartⅠ 人体は不思議に満ちている
PartⅡ 面白くて眠れなくなる人体
PartⅢ 人体は小宇宙

 本書は人体について一般向けに書かれています。一つ一つの疑問が興味深く、「我慢したおならはどうなる?」や「おしっこが出るのは何のため?」「かき氷を食べるとこめかみがキーンと痛くなる理由」など生活の中で気になる項目が挙げられています。

その中で私が興味深く感じたのは「乳酸は疲労物質?」という項目です。乳酸は専門学校の授業で疲労物質として習っていましたが、現在では‘乳酸は疲労物資ではない’とする説が紹介されています。乳酸は無酸素運動をした後に産生されます。しかし、乳酸がエネルギー源として再利用されていることがわかり疲労物質ではないという説が出てきています。これについて本書では‘今後の研究の進展を待つ必要がありそうです’と書かれています。これは研究が進むにつれて、定説が覆されることを意味します。この項目では、常に自分の知識に疑問を持ち、常に知識の更新をすることの大切さを教えてくれます。

そして、「敏感な皮膚と鈍感な皮膚」という項目の中で‘必要な感覚には敏感に、ジャマな感覚には鈍感であることも、感覚には大事な要件なのです’と書かれていました。認知神経リハビリテーションは意識できる最小単位の感覚にも注目をしています。本書の中ではその感覚の敏感鈍感の役割を‘指は物の形や触感を判断しますが、顔は物の形を判断しません(当然ですね)。私たちは、顔に少しでも物がふれると、「危険」と判断して避けようとします。つまり、役割の違いが敏感さの性質にずれを生じさせるのです’と紹介されています。このことにより目的に合わせた感覚の役割、特性を踏まえて訓練を構築していく必要がある事を教えてくれているように思います。

 全体を通じて、普段当たり前のように感じている身体に疑問を持つことの重要性を教えてくれています。探究心は認知神経リハビリテーションを実践する際にも重要となります。これを機に何気ない日常から疑問を探す様に、またその疑問を追及する事を実践し、認知神経リハビリテーションの思考力をきたえて行きたいと思いました。

(文責 岡崎南病院 西村 郁江)
 

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