top of page

半側無視の評価であるCatherine Bergego Scaleの臨床的意義の再検討

~半側無視に対する机上検査と行動評価との関連性の検討から~

著者:竹内健太、竹林崇、島田真一

文献:作業療法

要旨

半側無視に対する机上検査とCatherine Bergego Scale(以下、CBS)による行動評価の関連性、そして両者間で半側無視の乖離が起こる要因を検討しCBSの臨床的意義を再検討することである。脳卒中右半球損傷者44名に机上検査(BIT 行動無視評価日本版)と行動評価を実施し、半側無視における両者の関連性を後方視的に調査した結果、29.5%の対象者で机上検査と行動評価の間で半側無視の乖離がみられた。半側無視の乖離がみられた群では、ADLで自己身体空間や遠位空間の半側無視が目立っていた。さらに乖離の要因として無視空間の違い、認知機能による半側無視の代償可能性が考えられ、半側無視に対しては机上の検査だけでなくCBSによるADLでの行動評価を併用して実施する必要がある。

コメント

 高村ら1)の研究においても机上検査ではカットオフ値を上回っているが、ADLでは見落としがある症例が存在すると述べている。私も臨床上において机上検査とADLの乖離があることを経験がある。論文の考察の中で机上評価と行動評価の乖離の理由に能動的注意と受動的注意の問題が取り上げられていた。藤井ら2)によるとBITは能動的注意によって評価が殆どであり、受動的注意ができない点で限界があると述べている。つまり、机上検査とADLでは注意の仕方が異なることで乖離が生じている可能性がある。認知神経リハビリテーションの観察には所定の項目に従った観察と直接観察とがあり、机上の評価が所定の項目に従った観察、行動観察は直接観察に該当する。それぞれ、観察の特徴があり評価をするにあたり、能動的注意の要素、受動的注意の要素を考えながら評価・介入を検討する必要があるのではないだろうか。

 

引用・参考

1)高村優作、河島則天、森岡周:脳卒中後の回復における新たなる発見

2)藤井新太郎、他:回復期脳卒中患者の半側空間無視における能動的注意と受動的注意の特性の変化.第51回日本理学療法学術大会 抄録集,2016

 

(文責 岡崎共立病院 永原巧)

bottom of page