Esercizio Terapeutico Conoscitivo Aichi
コトバを超えた知を生み出す─身体性認知科学から見たコミュニケーションと熟達─
著者(全著者)
鈴木 宏昭(青山学院大学 教育人間学部教授)
横山 拓 (青山学院大学大学院 社会情報学研究科 大学院生)
出版年 : 2016
出版元 : 特定非営利活動法人 組織学会
要旨
本稿では,組織の中に蓄積された暗黙知の明示化,公共化に関わる困難を認知科学的に分析する.その困難は,意識化すら不可能な知識が存在すること,言語が断片的であるがゆえに状況の復元に十分なパワーを持っていないことに由来する.こうした困難を克服するためには,知識を,場の中でマルチモーダルシミュレーションによって生み出され,改変され続けるものとして捉えることが必要とされる.また状況や身体の情報を豊かに伝える象徴的言語の利用も知識の伝達には有効である(学会HPより転記)
要旨
著者は捉えられない無意識あるいは,非意識の情報がコトバにあること.また,コトバにより経験が歪められる事,あるいは多義性という特徴をもったコトバに依存する事がどれだけコミュニケーションに弊害を生むのかを提示している.次に知覚的シンボルシステム理論からコトバが生み出される状況など,様々な実例を提示してその処理システムを解説している.様々な分析を通して著者は経験,知識はコトバがきわめて限定的,また経験の一側面しかとらえていない事,かつ簡単に伝えられるものではないという事を示している.
コメント
認知神経リハビリテーションでは患者のコトバを重要視する.それは患者から語られるコトバに個人の経験が内在していると考えるからである.そしてそのコトバを解釈し患者の意識経験を知る事で訓練を構築する.ここには患者のコトバを真実として受け止める姿勢が見受けられる.しかしこの論文を読むと患者のコトバを信頼する事の危うさを感じ得ない.この論文は自分自身が果たして本当の意味で患者のコトバを解釈しているのか改めて疑問を持つ事ができる論文である.
文責:岡崎南病院 首藤康聡