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学びにおけるインターラクション

佐伯胖
情報システム学会Vol.4,No.1:21~29

 本文は情報システム学会において認知心理学者である佐伯氏が講演した内容であり、情報社会における学習のあり方を認知科学の視点で述べている。
 氏は、学習の考え方が1980年以降大きく画期的に変わったとし、知識を吸収し面白い事を頭に入れるという学習観は70年代で終わり、近年になり、人類学とか社会学の知見をもとに、学習を社会的なあるいは文化的な文脈の中で考えるとういうように変わり、人は文化の中で生きて働くということの中に学びがあるという考え方になってきていると述べている。そして結語に「人間が学び知るのは、情報を収集し脳に知識を溜め込むことではない。そうではなく、モノ、人、コトの中でモノになったり、人の身になったり、コトの世界に我が身を放り込んだりして、そこでどういう事態が起こっていくかを全身で実感しながら納得する。これが、学ぶことであり、知ることなのだ。(略)」と締めている。
内容には、ヴィゴツキーの「人間が新しいことが出来るようになるのは、発達であり、学習である。それは最近接発達領域の中で起こり、思考には道具を媒介とする。」であったり、「学習とは参加である」、「人は『共感』によって世界を知る。」などの聞きなれたフレーズもあり、我々が患者に対して訓練を構築し何らかの学びを引き起こす為の1つのきっかけになるかとも考える。しかし、異業種に向けての内容であるため、自分自身が十分な理解に至っておらず、更なる読み込みや、読み解きが必要な部分も多々あり今後の課題としたい。

 

(文責:井内 勲 岡崎共立病院)
     

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